公職選挙法勉強会資料(2012年8月26日)

公職選挙法勉強会資料(2012年8月26日)

 

 

衆議院定数480人。任期は4年。(任期満了は平成25年8月29日)

300名が小選挙区選出議員、180名が比例代表(政党ごとの得票率に比例的に議席を分布させる制度。11ブロック)選出議員。

衆議院解散による総選挙は、解散日から40日以内に総選挙を行う。

任期満了による総選挙は、任期満了の日から前30日以内に行う。

任期満了による総選挙の期間が国会開会中または国会閉会の日から23日以内にかかる場合においては、国会閉会の日から24日以後30日以内に総選挙を行う。

衆議院議員総選挙の期日は、少なくとも12日前に公示しなければならない。

衆議院は参議院に対して優越的権限を有する。内閣総理大臣の指名、予算の議決、条約の承認については絶対的な優越、法律案の議決については相対的な優越(衆議院可決後に参議院で否決された場合、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再可決すれば法律となる)。

選挙権…日本国民で年齢満20年以上の者。

被選挙権…日本国民で年齢満25年以上の者。

衆議院小選挙区における当選者は「有効投票の最多数を得た者」1名のみ。但し、有効投票数の6分の1以上得票できなければ再選挙。

 

 

参議院定数242人。任期は6年、3年ごとに総定数の半数ずつを改選。(任期満了は平成25年7月28日)

都道府県を単位とする選挙区選出議員が146人、全国を単位とする比例代表議員が96人。

半数改選のため、次回選挙では選挙区73議席と比例代表48議席。

 

 

選挙には地盤(選挙区内の支持者の組織。政党の地方組織、業界団体、特定企業、職能団体、労働組合、市民団体、地縁・血縁など)・看板(知名度。多選者、世襲候補、旧藩主家出身者、芸能人、文化人など)・かばん(選挙資金。供託金、選挙対策費、事務所経費、交通費、後援会活動費など)を備えていないと当選は難しい。

 

 

小選挙区の有権者数は25万人から55万人。←一票の格差が大きい。

最低で4万票で当選。12万票取っても落選するケースもある。

 

 

衆・参議院比例区の管理は中央選挙管理会、衆・参議院地方区の管理は各都道府県選挙管理委員会が担当。←わからないことは選挙管理委員会へ確認。

 

 

衆・参議院地方区では300万円の供託金が必要。有効投票数の10分の1を得票できなければ没収。

 

 

公職選挙法には選挙運動の定義が書かれていない。←恣意的に運用される。

『実務と研修のためのわかりやすい公職選挙法』によれば

特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得または得させるために、直接または間接に必要かつ有利な行為

 

選挙運動期間とは告示(立候補届出が受理された日)から投票日の前日午後八時まで。

 

告示以前の選挙運動は事前運動として禁止

  1. 選挙カーに乗って候補者の名前を連呼。
  2. 集会を開いて投票を依頼する。
  3. 戸別訪問や電話による投票依頼。
  4. 候補者や後援団体の名前が書かれたポスターの掲示。
  5. 候補者名を印刷した年賀状・寒中見舞い・暑中見舞いなどの挨拶状の発送。
  6. 立候補届出前の買収。

 

 

可能な事前運動

  1. 立候補の準備行為。政党に公認を働きかけたり、推薦を頼む。
  2. 支持者が集まって推薦する候補者を決めようとする行為。
  3. 選挙運動のための準備行為。選挙事務所や選挙カーを借りる下準備。ポスターや看板、提灯などをつくり始める。運動員を雇うための交渉や選挙運動中の仕事の分担や連絡方法を決める。
  4. 選挙資金の調達。但し、不特定多数に対してカンパや寄付を求めるのは危険。
  5. 政治活動=選挙の当選をはかるために行われる選挙運動を除いた、政治上の目的を持って行われる行為。政策の普及・宣伝、政治啓蒙、党勢拡大行動など。
  6. 後援会活動=候補者の人柄や政治信条に共鳴し、その政見、主義、政策を普及させ、政治活動を支援し、支持者の獲得と拡大をはかる。会報を配布したり会員を勧誘するのはOKだが、投票依頼行為や花輪・供花・香典・祝儀などの寄付行為はNG。
  7. 地盤培養行為=選挙区の様々な集まりに参加し、名刺を配る。
  8. 社交的行為は厳しく規制されている。選挙民に出す手紙・葉書は答礼のために自分で手書きしたもの以外はNG。電報やメールもNG。候補者自らが後援会やお祭りに寄付するのもNG。

 

 

公職選挙法で認められている選挙運動

・     葉書の送付(葉書は35000枚まで。選挙用と表示。)

・     ポスター、立札、の掲示

・     ビラの配布(A4サイズ以下。二種類、七万枚まで。頒布責任者の氏名と住所を明記。選挙管理委員会の証紙を貼る。)

・     看板の設置(選挙事務所内に掲示できるポスターや看板類は三個以内。提灯は一つのみ)

・     新聞広告(五回まで)

・     個人演説会(公開討論会はNGだが、合同の演説会とすればOK。但し、特定の候補を応援することはNG。)

・     街頭演説会(朝8時から夜8時まで。立ち止まってする。歩きながらや走行中の車からはNG。停車中ならOK。必ず選管の標旗を立てる。演説中ビラを配れるのは15人まで。国や自治体の所有・管理する建物、電車や駅構内、病院ではNG。会社や商店の放送設備を使うのもNG。)

・     幕間演説

・     自動車からの連呼(連呼行為は個人演説会、街頭演説、選挙カー以外はNG。選挙カーに乗れるのは候補者と運転手を除き4人まで。選管から交付される腕章をつける)

・     電話を利用する運動

・     個々の面接(戸別訪問は禁止)

・     政見放送

 

 

公職選挙法で認められていない選挙運動

・     戸別訪問

・     選挙につながる署名活動

・     ホームページの公示後の変更

・     飲食物の提供(但し、湯茶や煎餅・饅頭などの茶菓子程度ならOK。)

・     支持者が選挙事務所に酒や高級菓子を持ち込む

・     気勢を張る行為

・     利益誘導(特定の利益ではない場合はOK。)

・     金品による買収(事後に渡すのもNG。)

買収罪…当選するため、または他候補を当選させない目的で、選挙人または選挙運動員に対し、金銭、物品その他財産上の利益、または公私にわたる職務の供与、または供応接待(後援者や有権者を見学、旅行などの行事に招待したり、通常用いられる以上の食事を提供したりすること)をしたときに成立。供与や供応接待の約束、または申し込みをした場合も含まれる。

 

買収罪は最も悪質な違反行為として、候補者はもちろん秘書や親族、選挙の総括責任者や出納責任者など選挙参謀が行なった場合でも連座制が適用され、当選は無効。以後その選挙区からは五年間立候補できない。

 

 

選挙犯罪

・     買収…金銭、物品による票の獲得や誘導。

・     選挙の自由妨害…ポスターを破く。演説の邪魔をする。相手の運動員を脅す。嘘をついて違う場所に誘導する。嘘の経歴や職業、政党との関係を報告するなど選挙運動の不正。

・     投票に対する罪…投票用紙の偽造。他の人物が投票するなどの投票における不正。

・     選挙の平穏を害する罪…凶器を持って投票所に行くなどの選挙における妨害。

・     選挙報道・評論に関する罪…新聞・雑誌などが選挙の公正を害すること。

・     公務員の職権乱用

 

 

選挙運動に参加できない人

・     中央選挙管理会の委員および庶務に従事する職員

・     選挙管理委員会の委員とその職員

・     投票管理者、開票管理者および選挙長

・     裁判官

・     検察官

・     会計検査官

・     公安委員会の委員

・     警察官

・     収税官吏および徴税の吏員

・     国家公務員(臨時・非常勤を除く)

・     選挙犯罪により選挙権と被選挙権を停止されている人

・     未成年者(事務所での機械的作業は可)

※     地方公務員や教育者も、その地位を利用して選挙運動を行うことは禁止。