増税について
— 「累進課税」で富の再配分を —
◆貧乏人に重い負担を強いる「消費税増税」
世の中には金銭的に余裕のある人もいれば、カツカツで暮らしている人もいる。余裕の少ない人には少しだけ、余裕のある人には多めに、さらに余裕大アリの大金持ちにはたっぷ税金を払ってもらうっていうのが人道的に正しい税金の取り方だよね。そんなふうに金持ちからより多くの税金を取る方式を「累進課税」と呼ぶよ。
実は「所得の再配分」というのも、徴税(=税金を集めること)の大事な役割のひとつなんだ。貧富の差を徴税によって少しでも平らに均そうというわけだ。だから、先進国の所得税はほとんど「累進課税」になっている。
一方、消費税の税率は一律だ。現状の消費税率5%の場合を考えてみよう。たとえば年収200万円の派遣労働者の場合、収入のほぼすべてを消費しないと生活できない。200万円全部使ったとして、そのうち消費税は95,238円。所得に対する割合は4.8%となる。
ところが年収5000万円の企業経営者の場合、5000万円すべてを使うわけではない。余ったお金は貯蓄や投資に回すことだろう。消費するのが1000万円だとしたら、そのうち消費税は476,190円。所得に対する割合は0.95%で済む。所得の少ない人ほど重い負担がのしかかる課税法、それが消費税だ。これは金持ち優遇の「逆累進課税」なんだ。
派遣労働者の家計 企業経営者の家計
◆消費税率の高い国では?
日本の消費税率は欧米と比べて安い、と主張する人もいる。実際、例えばフランスの消費税率は19.6%、ドイツは17%、イギリスは17.5%と結構高い。でも、これらの国でも食料品に限っては、フランス6%、ドイツ5.5%、イギリスでは0%の税率となっている。食料品のような生きていくために不可欠のものには課税しない、というのが道義にかなっているんじゃないかな。あるいは百歩譲って課税するとしても税率を低くすべきだろう。すべて一律10%なんて、貧乏人に対して苛酷すぎるよね。
◆消費税増税は公約違反
民主党が政権の座についたのは2009年。このときの総選挙で掲げたマニフェストには、
「税金のムダ使いを徹底的になくすまでは消費税増税には手をつけない」
と明記されていたよ。
ところが2010年の参院選で菅首相は唐突に、消費税率を引上げると言い出した。
「そんなの公約違反じゃん!」と国民が反撥したから、この選挙で民主党は惨敗。
それなのにまたも性懲りもなく消費税増税を言い出す民主党、野田首相には呆れたもんだ。
国は台所事情が苦しいという。借金(=財政赤字)がかさんでしまっているという。でも、そもそも国の財政状況が悪化したのは、国民の責任じゃなく、政府の失策の結果。その責任も取らず、マニフェストを踏みにじって国民に負担を求めるなんて、とんでもハップンだ。